おそらく、多くのお経の中で最も有名なのが般若心経でしょう。
日本で一般的に知られている般若心経は、西遊記の三蔵法師のモデルである玄奘三蔵の翻訳によるもので、これは、全600巻という膨大な量の「大般若経」から、エッセンスだけを抜き出してまとめた、いわばダイジェスト版のようなものです。
般若心経の「心」の字はそれを表しています。
正しくは「般若波羅蜜多心経」と言い、原語のサンスクリット語で分解すれば、「般若=プラジュニャー(最高の智慧)」・「波羅ム=ハラム(彼岸=悟り)」・「イ多=イター(渡る)」ですから、「彼岸へ渡るための智慧」となります。
これに「心=フリダヤ(核心)」が加わって、「プラジュニャーパーラミターフリダヤスートラ」(スートラ=経=教え)つまり、「悟りをひらくための智慧を説いた教え、その核心」という意味になります。 |